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ドイツ人と日本人との結婚手続について
ドイツ人と日本人との結婚手続について
ドイツ人は、ヨーロッパの中でも、真面目で質実剛健な気質があるといわれて、一般的な日本人の性格とも近いといわれます。
新型コロナウイルスによる感染拡大が起きる前、2019年の統計で、日本を訪れたドイツ人は約23万6000人、ドイツを訪れた日本人は61万人を超えていました。また、日本に在留・永住しているドイツ人は約6800人である一方で、ドイツには約4万5千人の日本人が住んでいるとの統計があります。
そのような交流の中で、ドイツ人と日本人が出会い、結婚に至るとしても決して珍しいことではありません。
■ドイツと日本の結婚制度の違い
ドイツでは、男女ともに16歳が結婚可能年齢とされていましたが、中東諸国などから流れてきた難民の中に既婚の子どもが多く、虐待などの問題が生じていることから、2017年頃から、国外出身者も含めて18歳を結婚可能年齢とするよう法改正が行われました。
日本でも2022年4月から、男女ともに18歳以上で婚姻可能とされますので、その点では将来的に一致することになります。
日本では、離婚直後に生まれた子どもがいるとして、前の夫と現在の夫のどちらが父親なのかを確定させるため、女性のみに100日間の再婚禁止期間が設けられています。
その一方、ドイツに女性の再婚禁止期間に関する定めはありません。つまり、離婚や死別後も、女性はタイミングの制約なく、すぐにでも再婚できるのです。
なお、ドイツでは二人だけで話し合って離婚届を提出する協議離婚の制度がなく、必ず弁護士を介して離婚手続きを行わなければなりません。また、子どもがいなくても、元 配偶者の片方が経済的に自立するまで、もう一方が仕送りを続けなければならない場合があります。
また、ドイツでは婚姻届を出さずに事実婚の関係を成立させる「生活パートナーシップ制度」が、2001年から整備されています。もともとは、同性カップルが法的権利や社会的責任を持てる裏付けとして導入された制度ですが、異性同士の夫婦関係でも問題なく利用されるようになっています。
本コンテンツでは、簡易的なパートナーシップ制度ではなく、ドイツの正式な法律婚の制度について、解説しています。
次に、日本人とドイツ人が国際結婚を行うとき、法的に求められる手続きについて解説していきます。
これは、日本で先に手続きを行うか、それともドイツで先に手続きを行うかで、全体の流れが異なります。
■先に日本で結婚手続きを進める場合【日本先行方式】
日本の役所・役場に婚姻届を提出する前に、まずは、ドイツ人配偶者の婚姻要件具備証明書(独身証明書)を発行してもらう手続きから始める必要があります。
日本人が独身かどうかは、戸籍でわかりますが、ドイツ人が独身かどうかを知る情報を日本の役所は持っていません。そこで、ドイツ当局からその証明書を取り寄せるのです。
ドイツ国内の戸籍役場(Standesant)に発行を依頼することもできますが、郵送に日数がかかるでしょう。日本国内では、在日本ドイツ大使館でも入手できます。
婚姻要件具備証明書を受け取ったら、その日本語翻訳文を作成し、2人で日本の役所・役場に持っていき、婚姻届を提出します。
必要書類は婚姻要件具備証明書と、その和訳文以外には、次の通りです。
・ドイツ人の出生証明書
・ドイツ人のパスポートの写し
・日本人の戸籍謄本(本籍地の役所に届け出る場合は不要です)
なお、役所によっては、ドイツ人の出生証明書や婚姻要件具備証明書に、アポスティーユ認証を求められる場合があります。あらかじめ確認しておくとスムーズに進みます。
役所から婚姻届受理証明書を受け取ったら、ドイツ大使館に報告的な届出を行いましょう。
必要書類は受理証明書の他、婚姻情報記録済みの日本人の戸籍謄本、ふたりのパスポートです。
■先にドイツで結婚手続きを進める場合【ドイツ先行方式】
日本人は、あらかじめ日本の法務局から婚姻要件具備証明書を取得しておき、そのドイツ語訳文も作成しておきましょう。
そして、役所に婚姻届を提出します。
他の必要書類は次の通りです。
【日本人が用意する書類】
・戸籍謄本
・住民票(既にドイツに住んでいるなら、ドイツ住民登録証明書)
・パスポート
【ドイツ人が用意する書類】
・住民票
・出生証明書
・身分証明書
・パスポート
これらの届出が受理されたら、「届出婚式」の日時の予約を行い、婚式が執り行われます。
その後、婚姻証明書が発行されますので、婚姻情報が記載された戸籍謄本を添えて、日本大使館に報告的届出を行います。
■配偶者ビザが発行されるかどうかは別の問題
ただ、ドイツ人との結婚が正式に成立したとしても、そのドイツ人に日本の在留資格である「配偶者ビザ」が発行されるかどうかは、また別の話ですので、ご注意ください。
配偶者ビザの申請のために、結婚とは異なる独自の手続きもありますし、偽装結婚でないことを示すために多数の証拠を提出しなければならない難しさもあります。詳しくは弊所にお問い合わせください。