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外国人雇用の注意点2

外国人を雇用する企業経営者が気をつけておきたい「ビザ」の話

 

訪日外国人の人口は、2011年の約620万人から、2019年の約3200万人と、たった8年で約5倍にまで急増しています。

そのうち、外国人労働者も約172万人と過去最高の数字を更新しています。

 

島国で、もともと珍しかった外国人が、LCCの発達で航空チケットが安くなった事情なども手伝って、特に国内の都市部では外国人労働者が当たり前の存在になっています。

 

特にアルバイトを雇用しようとするとき、日本人が敬遠しがちな仕事を、進んで引き受けてくれる外国人も少なくありません。

 

「次に雇うなら、外国人にしようかな」と考えている経営者や人事責任者もいらっしゃるかと思います。

 

しかし、外国人を雇用しようとするときに、最も気をつけなければならないのが「就労資格」です。

 

もし、日本国内での就労資格がない外国人を雇用してしまえば、雇用主も「不法就労助長罪」に問われ、最高で懲役3年・罰金300万円が科されるおそれがあります。

 

就労資格がないことを知らなかった……というのは言い訳になりません。就労資格があるかどうかを、前もって調べようとしなかった態度は「もし、この外国人に就労資格がないとしても別に構わない」という『未必の故意』が成立する可能性があります。そのため、わざとやったのと同罪として扱われかねないのです。

 

外国人の就労資格を調べるには、「ビザ」を確認するのが最も確実です。

では、就労資格を確認できるビザには、どのような種類があるのでしょうか。

 

■就労ビザ

特定の仕事をする目的で、日本での長期滞在を認められている外国人の証明書です。

 

就労ビザの種類としては「外交」「公用」「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職(1号・2号)」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「特定技能(1号・2号)」「技能実習生(1号~3号)」があります。

 

これらの就労ビザを保有している外国人を雇用する場合、その就労ビザの種別に合った仕事を与えなければなりません。もし、種別と異なる仕事をさせた場合も、やはり不法就労助長罪に問われ、最高で懲役3年・罰金300万円の刑に処せられるおそれがあります。

 

 

「技能実習生」は、実習生とはいっても、労働の対価としての給与は支払わなければなりません。一時期、一部の企業が技能実習生を不当に低い待遇で働かせていたことが社会問題として浮上したこともありますので、最低賃金レベルを下回らない十分な待遇で迎え入れなければなりません。

 

また、一部の高度専門職を除き、就労ビザで認められた在留資格には期限があります。雇用を考えている経営者や人事担当者は、求人に応募してきた外国人の在留資格の期限が切れていないかどうか、採用の前に確認しておく義務があります。

 

■留学ビザ

 

在留資格『留学』のビザを保有している外国人は、勉学のために日本での長期滞在が許可されていますので、原則として国内で働くことはできません。

 

ただし、出入国在留管理庁から『資格外活動の許可』を認められている外国人留学生は、週28時間を上限として、例外的にパートやアルバイトなどとして働くことができます。この週28時間の制限は、時間外労働(残業や休日出勤)の時間も含みます。

 

その一方、資格外許可活動の「包括許可」を得ている外国人留学生は、風俗関係を除き、週28時間の範囲内でどのような職種の仕事にも就くことができます。よって、企業経営者にとっては、むしろ就労ビザを持つ外国人よりも雇用しやすいかもしれません。

 

2020年10月の厚生労働省の統計によれば、就労ビザを持って働く外国人が約36万人、技能実習生が約40万人、資格外活動の許可を得て働く外国人留学生が約37万人と、それぞれの人口がほぼ拮抗しています。

 

■どんな仕事にでも就けるビザ

 

次のビザを持っている外国人は、週28時間を超えて、日本人と同じようにあらゆる職種を選んで働くことができます。

 

<定住者>

定住者とは、『平成2年法務省告示第132号』というルールに定められた、一定の条件を満たしていて、長期の在留資格を持っている外国人です。たとえば「日系2世・3世」「一部の訪日難民」「中国残留邦人」などです。

 

法務省告示の条件を満たしていない外国人でも、個別の事情を汲み取って、法務大臣が特別に定住者としての在留資格を与えることがあります。

 

なお、定住者と結婚した配偶者やその子どもにも、定住者としての在留資格が与えられます。

 

<永住者>

原則として10年以上、日本国内に合法的に住み続けていて、生活態度が善良で、自分自身で独立して生活を送れる程度の収入や資産を持っている、無制限の特別な在留資格が与えられている外国人です。

 

また、太平洋戦争(1941-1945)をきっかけに日本国内で住むことになった在日韓国人・在日朝鮮人・在日台湾人とその子孫には、「特別永住者」としての在留資格が与えられています。

 

<日本人(または永住者)の配偶者>

日本人、または永住者と結婚して、ビザが発行されている外国人配偶者も、職種を問わずに働くことができます。

 

 

以上のような、職種に制限のない在留資格に基づいて働いている外国人労働者は、約59万人(2020年10月統計)います。

 

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