事実婚・内縁関係での配偶者ビザ申請

婚姻届を出していなくても、事実婚・内縁で配偶者ビザを取ることはできますか?

 

近ごろでは、事実婚・内縁という関係を選ぶカップルも増えてきました。生活の実態は通常の夫婦と変わらないけれども、婚姻届は出さない男女のことです。

 

日本人からは、結婚せずに同居している内縁の夫婦は、交際中の同棲カップルと同じように扱われがちで、厚生労働省などによる統計でも、そのような集計がされがちです。

 

ですから、日本国内で事実婚をしている夫婦の数は、政府も正確に把握していません。

 

ただ、20歳以上で同棲している男女の数は、国勢調査によると少なくとも60万組はいるとされています。決して無視できない規模になっています。

 

総務省の公式見解では、事実婚を正式な婚姻として認めていません。しかし、最高裁判所は2013年に、結婚関係にない男女の子どもは、結婚している夫婦の子どもの相続分の半分しか認めていなかった民法の規定を「法の下の平等に反する」として、憲法違反だと断じました。

 

夫婦は婚姻届を出さなければならないという前提は、日本国内でも少しずつ崩れ始めているのです。

 

事実婚はむしろ、離婚するときなどに、財産分与や親権などを法的に定める複雑な手続きが必要ないことから、事実婚は新しい結婚のスタイルとして、若い世代を中心に、徐々に浸透していっています。

 

そして、諸外国では、ヨーロッパを中心に事実婚が尊重され、すでに法整備も整っている国が少なくありません。そのことから、日本国内でも、事実婚の状態で長年にわたって同棲している外国人カップルも増えています。

 

国内で、日本人や永住外国人と結婚した外国人には、在留許可が延長されやすく、仕事の職種の制限もない「配偶者ビザ」と呼ばれる在留資格が認められます。

 

そこで、日本人や永住外国人と事実婚状態にある外国人でも、配偶者ビザを取れるのかどうかが問題となります。

 

社会的に事実婚が受け入れられつつある実情とは反して、外国人の配偶者ビザの申請となると、話は別です。

結論から述べますと、残念ながら、日本人や永住外国人と、法律上の婚姻関係がある外国人でなければ、配偶者ビザを取得できません。

 

婚姻届を出していても、配偶者ビザの取得は難しい!

 

配偶者ビザは、在留期間が延びたり、仕事の種類を選ばずに就業できたりするなど、日本に住み続けたい外国人にとって大きなメリットがあります。

そのため、日本人や永住者と結婚していると、入管当局にウソをついてまで配偶者ビザを取ろうとする外国人が後を絶ちません。

いわゆる「偽装結婚」ですね。

 

この偽装結婚を警戒して、入管当局は、配偶者ビザを申請する外国人の審査を厳しくしています。

ちゃんと交際していた事実があるのかどうか、ふたりが旅行先で撮影した写真や、メール・LINEなどのやりとりを提出しなければならない場合があるほか、日本語を理解する能力を示す検定資格などを追加の証拠として要求されることもあります。

 

これを読んでいるあなたが、偽装結婚なんて最初からするつもりがないのは、わかります。

しかし、婚姻届を出していても、配偶者ビザを取るのは難しいのですから、婚姻届を出していない事実婚の外国人が配偶者ビザを取るのは、ほぼ絶望的となってしまうのも、また逃れられない事実なんです。

 

配偶者ビザの審査では、「間違いなく夫婦なのかどうか」が厳しくチェックされます。

ここで、日本人や永住外国人と婚姻届を出していれば、その婚姻関係を証明する書類があります。

 

しかし、事実婚、内縁の夫婦である以上、婚姻関係を立証する証拠がありません。

なにしろ、事実婚と、交際中の同棲カップルの区別を付けていないのが日本政府の認識なのですから、夫婦が婚姻届を出していない時点で、夫婦であることを疑わせてしまうのは仕方がないのです。

 

「なぜ、婚姻届を出さないのか」説明しなければならないかもしれません。「離婚で揉めたくないから」「国の制度に縛られたくないから」などという理由だと、自己本位だとみなされて、かえって状況が悪くなることも考えられます。

 

この先、何十年後かに、事実婚に対する日本政府の認識と取り扱いが変わるかもしれませんが、現状では、事実婚で配偶者ビザを取得するのは、ほぼ100%無理だというべきでしょう。

 

前の夫と離婚できないために事実婚状態になっている場合

 

しかし、事実婚をしている外国人にも、さまざまな事情があることでしょう。

たとえば、一般的な在留資格がある外国人の夫と離婚したいのに、まったく応じてくれないと悩んでいる外国人女性が、その間に現在の日本人・永住外国人の男性と出会い、婚姻届を出したくても出せない状況にある場合です。

 

日本では重婚が禁止されていますから、前の夫と離婚できていない状況では、婚姻届を役所が受理してくれません。

 

このような場合は、人道的にも気の毒な状況にありますので、弊所に相談してみることをおすすめします。なにかしら方策があるかもしれません。

 

記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁

2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応

講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師

詳しいプロフィールを見る

運営HP
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