ペルー人と日本人との結婚手続について
ペルーといえば、世界遺産マチュ・ピチュで有名で、日本人観光客も多く訪れています。
そして、明るくて陽気なペルー人にとって、日本人は男女ともに勤勉で賢く、神秘的な良いイメージが広まっているといわれています。
在日ペルー人(在留・永住)の人口は、2019年現在で約4万8000人と、南米の中ではブラジル人に次いで第2位ですが、他国民と比べても取り立てて多いわけではありません。
しかし、日本に住んでいるペルー人は、人口比で相対的に、他の外国人と比べても、日本人と結婚する割合が特に高いことで知られています。2015年現在で、日本人とペルー人の結婚件数は年間約200件で、日本人の国際結婚全体の1%を超える割合です。もはや、決して珍しい組み合わせとはいえないのです。
ペルーと日本の結婚制度の違い
ペルーでは、男女ともに18歳が結婚可能年齢とされています。
日本でも2022年4月から、男女ともに18歳以上で婚姻可能とされますので、その点では将来的に一致することになります。
日本では、離婚直後に生まれた子どもがいるとして、前の夫と現在の夫のどちらが父親なのかを確定させるため、女性のみに100日間の再婚禁止期間が設けられています。
一方、ペルーの法律では、女性の再婚禁止期間が300日間と定められています。ただし、裁判所の判断で再婚禁止が解かれるケースもあるようです。
ペルーの結婚制度で特徴的なのは、障害を持つ者の婚姻禁止規定です。
- 視覚・聴覚・言語機能に障害があり、自分の意思を明確に表現できない者
- 慢性的な病気を持つ者
- 伝染性の病気を持つ者
- 治療困難な精神障害と診断された者
これらの疾病や障害を持つ方は、ペルー当局から結婚が認められない場合がありえますので、あらかじめご注意ください。
また、ペルーでは、ふたりの話し合いだけで離婚を成立させる「協議離婚」の制度がありません。離婚する場合は必ず、裁判所に提訴して判決をもらわなければなりません。その点も日本とは異なります。
次に、日本人とペルー人が国際結婚を行うとき、法的に求められる手続きについて解説していきます。
これは、日本で先に手続きを行うか、それともペルーで先に手続きを行うかで、全体の流れが異なります。
先に日本で結婚手続きを進める場合【日本先行方式】
まず、在日本ペルー大使館で、ペルー人の「宣誓供述書」を発行してもらいます。
ペルーでは、国が婚姻要件具備証明書を発行するしくみがありません。自分が独身であり、他の結婚条件も満たしている事実について、自身で真実であると宣誓する文書に署名することによって、これを婚姻要件具備証明書の代わりとするのです。
次に、日本国内の役所・役場に2人で出向いて、婚姻届の提出をします。
このとき必要なのは、宣誓供述書とその日本語翻訳文のほかに、次の通りです。
- 出生証明書(ペルーから入手・和訳文も必要)
- 独身証明書(ペルーから入手・和訳文も必要)
- ペルー人の日本在留カード
- ペルー人の住民票
- 日本人の戸籍謄本(本籍地の役所に届け出る場合は不要です)
- ふたりのパスポート
ペルー人との婚姻届は、正式な受理までに日数がかかる場合があります。
無事に受理されたら、婚姻届受理証明書と、入籍の事実が記された戸籍謄本を持って、アポスティーユ認証のため、外務省を訪れてください。
これらの認証書類を在日本ペルー大使館に提出し、2人で結婚登録書への署名を終えれば、ペルー共和国名義の婚姻証明書が発行されます。
先にペルーで結婚手続きを進める場合【ペルー先行方式】
まずは、在ペルー日本大使館で、日本人の婚姻要件具備証明書を発行してもらいます。
必要書類は次の通りです。
- 申請書(大使館にあります)
- 戸籍謄本(3か月以内に発行されたものを日本の本籍地から取り寄せます)
- パスポート
婚姻要件具備証明書は日本語で書かれていますので、ペルーの公用語であるスペイン語での翻訳文も必要です。
次に、ペルーの公立病院で、視覚障害、聴覚障害、精神障害、慢性疾患などがないか、男女2人とも健康診断を受けて、医師の診断書をもらいましょう。診断書の有効期限は、発行後30日間です。
そうして、役所に2人で出向き、婚姻届を提出します。
必要書類は次の通りです。
【日本人が用意する書類】
- 婚姻要件具備証明書+スペイン語訳文
- 医師の診断書
- 戸籍謄本(日本外務省によるアポスティーユ認証入りのもの+スペイン語訳文)
- パスポート
【ペルー人が用意する書類】
- 出生証明書
- 居住証明書
- 医師の診断書
- ペルー共和国発行の身分証明カード(DNI)
この後、結婚の事実を公示する手続きが行われます。役所の掲示板に8日間、その情報が公開される他、新聞記事やラジオ放送での公示が行われることもあります。
8日間で誰からも異議が出なければ、挙式手続きに移ります。
結婚式は、教会で行うこともできますし、役所の中で公認の司祭の面前で執り行うこともできます。
結婚の宣誓は、外国人もスペイン語でしなければなりません。
式場には、証人も同席し、夫婦とともに婚姻証明書に署名します。証人は夫婦と知り合って3年以上経っている友人・知人でなければなりません。
挙式と婚姻登録が正式に終了すれば、婚姻証明書が発行されます。これをペルー外務省で認証し、在ペルー日本大使館で、報告的な届出を行えば終了です。
認証済み婚姻証明書と婚姻届の他、必要書類は、次の通りです。
【日本人が用意する書類】
- 戸籍謄本
- パスポート
【ペルー人が用意する書類】
- パスポートなどの身分証明書
配偶者ビザが発行されるかどうかは別の問題
ただし、ペルー人との結婚が正式に成立しても、そのペルー人に日本の在留資格である「配偶者ビザ」が発行されるとは限りませんので注意してください。
配偶者ビザの申請のために、独自の手続きもあります。詳しくは弊所にお問い合わせください。
記事の監修者

Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
VISA専門行政書士事務所
「Eight Links 行政書士事務所」を開業
専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし
年間500件以上の相談に対応
講師実績
広島県行政書士会国際業務協議会 担当講師
中華人民共和国遼寧省鉄嶺市(外国人会社設立・経営管理)についての講師
運営HP
広島外国人ビザ相談センター
https://hiroshima-visa.link/
広島国際結婚&配偶者ビザ申請代行センター
https://eightlinks.link/marriage/
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Eight Links 行政書士事務所 所長
蜂須賀 昭仁
2016年9月〜
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専門分野 外国人在留資格申請、帰化許可申請
外国人の在留資格申請を専門分野とし年間500件以上の相談に対応
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